■岡本商店街(東灘区)
(NO.10)
岡本商店街
阪急岡本駅から約300m南に、山手幹線を挟んでJR摂津本山駅がある。岡本商店街振興組合(東灘区・柏木良一理事長)はこのふたつの駅を拠点とし、文化のまち・学生のまちとして知られる「岡本」に自然発生的に商店が集まり形成された。
大正9年に阪急の駅舎が開設された当時は商店の姿はなく、もともと観梅期に人々が集まるほど梅林で有名であったこの地域は、大阪商人らの別荘地として徐々に栄えた。JR駅舎が開業した昭和10年以降に住宅地として開け、両駅周辺は買物を目的とした来訪者で賑わい、線路沿い東西約400mの範囲まで広がった。
アーケードはなく車両規制もないため通常の道路として車が走り、むき出しのアスファルトが回遊路となっていたが、震災後に主要通りが舗装され、石畳が敷き詰められた。今や同商店街の特徴となっているこの石畳は、毎年5月初旬に盛大に行われる同区のだんじり祭りにも耐えうる強度の高い桜御影石を使用している。雨天時には桃色に染まり、街並みは草花雨情に姿を変える。「石畳はお客様が歩く花道。また、店と店とを繋ぐ架け橋であり、お客様や街・各店の引き立て役」と語る関係者の気遣いが伺える。「岡本坂」、「キャンパス通り」、「フェスティバル通り(西)」、「フェスティバル通り(東)」、「山手幹線」、「JR通り」と呼ばれる六つの主な通りに飲食店や洋品店、雑貨店など業種の異なった200店舗以上が軒を連ね、全国でも有数の規模を誇る。
主な買物客は周辺の教育施設に通う学生や近隣に勤務する会社員ら、半径500m以内の地域住民である。終日、若者やハイセンスな大人が行き交いお洒落で落ち着きある雰囲気が漂っている。また、この地域は全国でもファッショナブルな街として名高く、休日には近畿圏外からも観光を兼ね、買物客が押し寄せる。店舗に空きはなく、多少の入れ替わりがあるものの魅力的な客層に出店業者が後を絶たない。
年間行事は「Welcome・岡本・春祭り」、「岡本サマーフェスティバル」、「岡本ウィンターフェスティバル」のシーズン毎に分けて開催され、全ての企画・運営はボランティアを含めた地域人員の手作業によって行われる。本年の「Welcome・岡本・春祭り」では、地域の親睦をより深める取り組みとして、平成4年から5年に移住してきた新住民を対象に手品やミニコンサートなどを披露するイベントが行われ、参加者を持て成した。関係者は「個店の販促は各店に委ね、この地域全体の活性化に力を注いで、商店街としてお客様を地域として新住民を様々な角度から歓迎したい」と語る。
(2005.6月発行)